「演劇」の世界を通してみえるもの

「演劇」の世界を通してみえるもの

インターネット業界で働く会社員の傍らで役者修業中。「演劇」が、単なる娯楽ではなく、生活に密接し、活力を与えてくれるものとして魅了されている中、そこからみえる世界を徒然に綴ります。

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ブログの更新がだいぶ滞ってしまいましたが、

プライベートの活動として、劇団を立ち上げました。

 

劇団名は「Tokyo EHON座」

設立日は2022年5月2日です。

 

子どもから大人まで楽しめる「絵本(EHON)の世界観」をテーマに、

アマチュアの団体として、プロのスタッフ陣と共にオリジナルミュージカルを創り上げます。

なんといっても講師陣が「東宝」や「劇団四季」で舞台経験のあるミュージカル俳優とあってワクワクしています!

 

設立経緯は、

昨年夏に、杉並区の区民ミュージカルとして上演された、

ミュージカル「チクタク村のマドレーヌ 」

(脚本・作詞・演出: 時枝正俊さん、作曲・音楽監督: 大部 胡知さん) に、

私自身がアマチュアの役者として出演した経験がとてもかけがえのないものとなり、

スタッフ陣にお声がけをし、昨年の秋ごろからコツコツと準備を進めて参りました。

 

自分一人だけではないたくさんの方々からの助けやアドバイスをもとに、ようやく形になりました!

 

私は今回は事務局として裏方に回りますが、「Tokyo EHON座」をどうぞ宜しくお願いします。

まずは、第1回公演の出演者(座員)募集します!主にお子さんを中心に、幅広い世代の方々のご応募お待ちしています!

 

 

2020年の観劇記録を振り返ってみました。

■1

STAGE~舞台、位置、足をつける場所~(丸福ボンバーズ・中野ザ・ポケット)

・ミュージカル「フランケンシュタイン」(日生劇場)×2

 

■2

・ミュージカル「フランケンシュタイン」(愛知芸術劇場)

・ミュージカル回想録「HUNDRED DAYS」(シアターモール)

 

■3

・ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~(日生劇場)


◼️5

・「12人の優しい日本人」を読む会(オンライン配信)


◼️7

・ミュージカル「マンマ・ミーア」横浜公演(劇団四季・KAAT 神奈川芸術劇場)

・ミュージカル「ライオンキング」東京公演(劇団四季・四季劇場「夏」)


◼️8

・ミュージカル「アラジン」東京公演(劇団四季・四季劇場「海」)

・ミュージカル「キャッツ」東京公演(劇団四季・大井町キャッツシアター)


◼️9

Fly By Night~君がいた(世田谷パブリックシアター)×2

・ミュージカル「ビリー・エリオット」(赤坂ACTシアター)


◼️10

Crimes of the Heart(恵比寿エコー劇場)

・ミュージカル「生きる」(日生劇場)

・ミュージカル「オペラ座の怪人」東京公演(劇団四季・四季劇場「秋」)


◼️11

・ミュージカル「プロデューサーズ」(東急シアターオーブ)×2(吉沢亮レオ)

・ミュージカル「NINE(赤坂ACTシアター)

KOKAMI@network『ハルシオン・デイズ2020(紀伊国屋ホール)

・劇団菊地第六回公演「泥の子」(アトリエファンファーレ東新宿)


◼️12

・ミュージカル「プロデューサーズ」(東急シアターオーブ)×1(大野拓朗レオ)

2020年の観劇ラインナップ(予定も含む)を記録しておきます。


■1月

・STAGE~舞台、位置、足をつける場所~(丸福ボンバーズ・中野ザ・ポケット)【了】
・ミュージカル「フランケンシュタイン」(日生劇場)×2回【了】

 

■2月

・ミュージカル「フランケンシュタイン」(愛知芸術劇場)【了】

・ミュージカル回想録「HUNDRED DAYS」(シアターモール)【了】

 

■3月

・ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド ~汚れなき瞳~(日生劇場)

 

■4月

・WEST SIDE STORY Season3(IHIステージアラウンド東京)

・ウーマンリブvol.14『もうがまんできない』(下北沢本多劇場)

・チェーザレ(明治座)

・ミュージカル「VIOLET」(東京芸術劇場 プレイハウス)

・エリザベート(帝国劇場)

 

■5月

・ガールズ&ボーイズ -Girls & Boys-(新国立劇場)


■6月

・ミス・サイゴン(帝国劇場)

 

■7月

・ボーイズ・イン・ザ・バンド ~真夜中のパーティー~(シアターコクーン)

 

 

■11月

・キャッツ東京(劇団四季・CATS劇場)

 

<観に行きたいリスト>※チケット未確保

・ある馬の物語 (世田谷パブリックシアター)

・夢から醒めた夢(浅利演出事務所・自由劇場)

・Fly By Night〜君がいた (conSept・シアタートラム)

・「ジャージー・ボーイズ」(帝国劇場)

・ミュージカル「スクールオブロック」(東京建物 Brillia HALL)
・ミュージカル「生きる」(日生劇場)

・ミュージカル「プロデューサーズ」(東急シアターオーブ)

・NINE(TBS赤坂ACTシアター)

 

<観に行きたかったリスト>※DVD購入予定

・天保十二年のシェイクスピア(日生劇場)

(いらすとや)

 

3/7(土)、演劇団体「Prayers Studio」さん主催する、発表会(本番)付きの演劇教室「スポットライトクラス」を無事に終えました。

 

■スポットライトクラスとは

「スポットライトクラス」は、Prayers Studioに所属するプロの俳優さんが講師となり、一般の人たちが、趣味で楽しめるための演劇教室です。一般の人たち向けではあるものの、プロの俳優さんも学んでいる演劇メソッドをベースに、お芝居の基礎を学び、実際の台本読み、立ち稽古、リハーサル、本番までを経験し、演劇のイロハを学べる演劇ワークショッププログラムです。

 

今回は、3人芝居の3人×3チームができて、私のクラスは以下日程で開催されました。

・1回目:12月中旬 
・2回目:12月下旬  
・3~5回目:1月以降の平日夜
・6回目 3/6(金)リハーサル 
・発表会 3/7(土) 

 

■参加のきっかけ~不自然なお芝居を克服したい~

私がこのワークショップに参加した目的は、昨年(2019年)入団したアマチュアミュージカル劇団での「悩み」を解決するためでした。その「悩み」とは、

 

・どうやって台本を読んでいいのかわからない

・セリフが棒読みっぽくなってしまう

・セリフが頭に入っても、動作が不自然になってしまう

 

でした。私が初舞台を踏んだアマチュアミュージカル劇団の公演は、演出家や先輩団員さんのサポートもあり、なんとか自分のシーンを乗り越えることができましたが、終わってみてから、そもそもお芝居の基礎ができていないことを痛感していました。そこで、数々の演劇ワークショップの武者修行を始め、その1つにここの「スポットライトクラス」がありました。お芝居のメソッド、稽古、本番を一通り経験できることから、参加することを決めました。

 

■題材~小川未玲・作「キニサクハナノナ」~

本クラスで使用した戯曲は、小川未玲さん作の「キニサクハナノナ」という、3人の登場人物が出てくる短編ものです。

 

※以下、ネタバレです。

舞台は、“この世(現世)”と“あの世(死の世界)”をつなぐ“その世”の世界。戦時中にお見合いをした青年「桑島」と少女「たまこ」が、いい雰囲気で終わったものの、桑島への召集令状がきっかけで破談となり、桑島はそのまま戦地で帰らぬ人に。一方、たまこは、戦後、結婚し、ひ孫までできる生活を送り、90歳まで生きる。桑島は、お見合いのときに、たまこに思い残したことがあり、“その世”をさまよっている。そんな中、“この世”にいるたまこが“その世”に現れる。桑島は、“その世”で、たまこと再会し、思い残したことを伝えるチャンスがあらわれる。“その世”の住人「読む人」は、桑島が無事に“あの世”に行けるために、2人をサポートする。

「桑島」「たまこ」「読む人」の3人の登場人物のうち、私は「読む人」を演じることになりました。

奇しくも、自分の身内のことなども重なり、「読む人」の役にご縁を感じながら向きあいました。

 

■ワークを通じて学んだこと、経験できたこと

今回の教室では、私自身は、以下のことを学ぶことができたと思います。

 

・台本をしっかり読む(主題、背景などの分析)

・自分の役が台本の中で行う「目的」を考える

・「目的」を達成するときに、自分はどういう「感情」が湧くかを意識する

・「目的」と「感情」を共演者とすり合わせる

・「目的」を持ちながら、相手と感情の交流をする

・相手の「行動」を観察しながら、役を全うする

 

途中、色々な障害にぶつかりましたが、メソッドに忠実に試行錯誤しながら、修正していく作業を重ねました。本番を終えてからも、まだまだ課題がありますが、何も知らないで飛び込んだアマチュアミュージカル劇団で悩んでいたことを1つ1つ解消し、今後の活動で活かせそうなことをたくさん得ることができました。

 

■演じる側を経験すると観劇の見方が変わる

今回演じる側のプロセスを学ぶことで、プロの俳優さんたちの舞台を観る見方も180度変わりました。1番大きく変化したのが、劇中で繰り広げられる感情のやり取りに注目するようになったことです。観劇していて心を揺さぶられることもあれば、俳優が戯曲の目的を無視して勝手に感情を暴走しているものを観れば、それは観客として置いてかれた感があります。作品に忠実に心を揺さぶる演技ができる俳優の「技術」は本当にすごいなぁと尊敬ですし、これからの観劇が益々楽しみになりました。

 

■総じて

何よりも、終わった後、「お芝居が楽しい!」「もっと上達したい!」という気持ちが芽生えました。

・今回のきっかけをくださり、終始の励ましと相談にのっていただいた大先輩NKさん

Prayers Studioさん、講師の蔭山恵美さん(かげちゃん)

・共演者のみなさん

本当にありがとうございました。

 

■写真

▼本番の舞台セット

▼「読む人」な私

▼NKさんからいただいた勇気と労い。めちゃめちゃパワーをもらいました。

(了)

演劇団体「Prayers Studio」さんの主催する、「ドラマトライアル」へ参加しました。

 

■「ドラマトライアル」とは?

1)プロの俳優さんによるお芝居の上演

2)観客と感じたことをシェアし合う

3)観客が実際の台本を読んで演じてみる

がセットになった体験型演劇です。

 

お芝居の上演後、その場で初めましての観客の方と感じたことや考えたことをシェアし合いました。そして、お芝居の役の心情を想像し、思いを巡らせながら、実際の台本の一部分を、観客が演じてみるというものです。主催者の方々が、演技をする上で必要なメソッドをナビゲートしてくださり、即興で1シーンを作り上げます。演じる体験ができるのは、人数の都合上絞られるのですが、私は運よく(じゃんけんに勝って)選んでいただきました。

 

■演目「おやすみ、母さん」

今回の演目は、マーシャ=ノーマンによる戯曲「おやすみ、母さん」でした。1983年にブロードウェイで初演された作品で、同年のピューリッツァー賞を受賞しています。登場人物アラフォーの「娘」とアラ還な「母」の2人芝居で、今回、私が参加した回(3/1)は、母セルマを妻鹿ありかさん、娘ジェシーを蔭山恵美さんが演じました。芝居の内容は、とある日の夜20時~22時の間に、娘ジェシーが「あること」を実行しようとします。そこで母セルマがそれを阻止しようとする中で、2人のこれまで歩んできた人生の選択、取り巻く人々との関係から、人間のもがき、葛藤が描かれています。

 

↑「おやすみ、母さん」のセットの一部です。実際の台所も使いつつリアルな演技が繰り広げられました。

 

↑照明のインテリアもいい感じに使われています。

 

↑お芝居上で使われる懐かしの「黒電話」!

 

■お芝居とはモノマネにあらず

私は、演技の勉強をする前は、台本の暗記と、いかに感情を込めてセリフを言うのか、だと思っていました。それは、違っていて、芝居を通じたコミュニケーションとは、ただ台本のセリフを言い合うのではなく、台本に書かれている目的を理解し、相手の表情を観察し、それで自分がどう感じたか、感じてどういう行動を促したいかでお芝居が成立するのだということを、ここでのワークで知ることになりました。意思・感情・思考を芝居上で伝達し合うこと、それはすなわち、役の心を感じ、芝居の世界に入っていくという非日常体験そのものが、演劇の魅力なのだとあらためて思うのでした。

 

■チラシ





2020年版ミュージカル「フランケンシュタイン」の大千秋楽は2/24に終わりました。

この作品を3回も観劇に至った理由を自分なりにひも解くために、色々な側面から振り返ります。今回は「ストーリーが持つ魅力」についてです。

 

■あらすじ(公式HPより)

19世紀ヨーロッパ。科学者ビクター・フランケンシュタインが戦場でアンリ・デュプレの命を救ったことで、二人は固い友情で結ばれた。“生命創造”に挑むビクターに感銘を受けたアンリは研究を手伝うが、殺人事件に巻き込まれたビクターを救うため、無実の罪で命を落としてしまう。ビクターはアンリを生き返らせようと、アンリの亡き骸に自らの研究の成果を注ぎ込む。しかし誕生したのは、アンリの記憶を失った“怪物”だった。そして“怪物”は自らのおぞましい姿を恨み、ビクターに復讐を誓うのだった…。

 

※以下、ネタばれを含みます。

 

■「美」と「醜」のコントラスト

前半は、ビクターとアンリが運命的な出会いから友情を育みます。その後、アンリには悲劇的な運命が待ち受けてはいましたが、アンリはその運命を受け入れ、ビクターのために潔く死んでいく美しさが描かれます。後半は、ビクターが創造した醜い怪物が、ビクターへの復讐を繰り広げるといった落差・・この不条理な展開、コントラストが心を揺さぶり、物語のエネルギーとなっていました。

 

■「夢」が「欲望」になると悲劇が生まれる

ビクターには、科学者としての「夢」がありました。それは、科学者として“生命創造”をこの手で実現することで、親を疫病で亡くした自分のような悲しみを持つ人を救う「夢」です。それは「希望」でもあり、未知なる世界への挑戦というポジティブな側面がある一方、それを是が非でも実現するのだ、という「欲望」に変化したとき、その結果は悲劇を生むのだ、というアンチテーゼに思えてなりませんでした。これは、例えば、「お金持ちになりたい」と夢を持っていた人が、裕福な生活自体への執着にかられ、いくらお金が手元にあっても毎日が不安で満たされなかったり、生活自体が空虚になったりで、身が滅んでいくという。。まるで、シェークスピアのマクベスの筋と重なる展開は、心にずっしりくるのでした。

 

■創造主(ビクター)と被造物(怪物)の関係性

物語の後半は、被造物(怪物)が創造主(ビクター)への憎しみ、復讐を中心にストーリーが展開します。ビクターの愛する人たちが、怪物によって次々と命を落としていきますが、ビクターだけは生かされます。それは、怪物がビクターへ「孤独を味合わせたい」という憎悪でもありながら、「生きていてほしい」という希望に思いました。怪物の一番の望みは、ビクターが「生きて、自分を一番に愛してほしかった」のではないかと。。最後は、北極の地で、怪物とビクターは2人きりになり、怪物はビクターの手によって殺されるのですが、怪物はビクターの手の中で、なんとも幸せな顔で死んでいくのです。「これでよかったんだ」という、絞首台で潔い顔をしていたアンリの面影を残していました。愛に飢えていた怪物を思うと心が締め付けられる思いでいっぱいになりました。

 

■総じて

「フランケンシュタイン」は、200年以上も語り継がれた歴史の重みがあります。それだけ作品が持つ魅力、エネルギーがあるからこそだと思います。ただのホラー小説ではなく、人間の悲喜交交、愚かさ、脆さ、全てが愛おしく思えてしまう、私自身が人生を重ねてきたからこそわかる、そんな作品でした。

 

■CAST & CREATIVE

<CAST>

ビクター・フランケンシュタイン/ジャック:

中川 晃教 柿澤 勇人 ※Wキャスト

アンリ・デュプレ/怪物:

加藤 和樹 小西 遼生 ※Wキャスト

 

ジュリア/カトリーヌ:音月 桂

ルンゲ/イゴール:鈴木 壮麻

ステファン/フェルナンド:相島 一之

エレン/エヴァ:露崎 春女

 

朝隈 濯朗 新井 俊一

岩橋 大 宇部 洋之

後藤 晋彦 白石 拓也

当銀 大輔 丸山 泰右

安福 毅 江見 ひかる

門田 奈菜 木村 晶子

栗山 絵美 水野 貴以

宮田 佳奈 望月 ちほ

山田 裕美子 吉井 乃歌

 

<CREATIVE>

音楽:イ・ソンジュン

脚本/歌詞:ワン・ヨンボム

潤色/演出:板垣恭一

訳詞:森雪之丞

音楽監督:島 健

振付:黒田育世

美術:乘峯雅寛

照明:高見和義

音響:佐藤日出夫

衣裳:十川ヒロコ

ヘアメイク:宮内宏明

擬闘:渥美 博

ステージング:当銀大輔

歌唱指導:福井小百合

指揮:八木淳太

オーケストラ・コーディネイト:東宝ミュージック

舞台監督:廣田 進/松井啓悟

演出助手:長町多寿子

プロデューサー:篠﨑勇己(東宝)/住田絵里紗(ホリプロ)

Art Direction:小倉利光(YELLOWNOTES)

Photographer:HIRO KIMURA (W)

 

◼️公式サイト

https://www.tohostage.com/frankenstein/

 

※お初の日生劇場での観劇でした。

 

 

2/24(月・祝)12時30分~@シアターモリエール(新宿)の回へ行ってきました。

 

■期待を裏切らない「conSept」プロデュース作品

ミュージカル回想録「HUNDRED DAYS」は、社会派ミュージカルを世に送り出す「conSept」企画の作品です。私自身、これまで「conSept」の関連作品としては、「いつか ~one fine days」「グーテンバーグ!ザ・ミュージカル」「In This House 〜最後の夜、最初の朝〜」を観劇し、どれもリピートしてしまうぐらい心を動かす作品に巡り合ってきました。どれも共通するのは、演出家・板垣恭一さんと音楽監督・桑原まこさんというクリエーターのコンビです。今回もそのお2人が関わる作品とあって、楽しみににしていましたが、期待通りというか、むしろ期待以上の驚きと感動を味わうことができました。

 

■実在の夫婦、ショーンとアビゲイルの数奇な運命と「100日間を一生分生きる」軌跡

ショーン・ベンソン(藤岡正明さん)、アビゲイル・ベンソン(木村花代さん)の実在するミュージシャン夫妻の数奇な運命を「ベンソンズ」バンドがライブ仕立てに回想していくお芝居が展開されます。一見、「これが、ミュージカル?」と意表をつくのですが、その不安は、あっという間に消えるほど、2人の世界に引き込まれていくのでした。

 

2人の世界の何に引き込まれたのか?

それは、この作品のテーマでもある「100日を一生分生きよう」という、「死」への恐怖を乗り越えていく過程ではないかと考えています。その背景にある2人の生い立ちは複雑で、抱えてしまった問題(=生きづらさ)を、それぞれが肯定し合い、必要とすることで、それぞれが生きる意義を見出していく。それは1人では生きていけない証であり、結果、2人で「喜び」も「絶望」も受け入れて、今を一生懸命生きることが、明日への「希望」となる、という答えを音楽を通じて心に訴えかけてくるのでした。まさにベンソンズの魂の歌を。。

 

■ライブの中で「芝居」をするということ

そんな2人の回想録を語って歌う、藤岡正明さん、木村花代さんの演技、歌の技量も圧巻でした。とくにアビゲイルを演じた木村花代さんは、喜怒哀楽のメンタルの揺れが激しいアビゲイルの感情を巧みに表現されていて、終始くぎ付けでした。今回は初めて木村さんの舞台を拝見したのですが、そんな木村さん演じるアビゲイルから、冒頭パフォーマンスでお土産(飴)をいただけたのは、良い思い出となりました。

 

 

これはネタバレですが、この作品の主題歌ともいえる「100日の奇跡」のナンバーは、劇中とラストに登場します。それぞれのアビゲイルの表情の違いは注目です。


■観劇後

Musical Theater Japanさんが主催するconSeptプロデューサー宋 元燮さんとの対話の機会「観劇を深める会」へ参加してきました。そもそもの作品のコンセプトだったり、あれはどういう意図だったのか、この解釈はどうなのか?など、作り手の作品に対する熱い思いを聞けて、とても有意義でした。また、他の観劇されたお客様との交流も自分にはない視点や気づきを得られ幅を広げることができました。総じて、今の自分がこの作品にマッチしていた答え合わせが出来て、一ファンとしてこれからのconSept作品に期待したいところです。また、後日レポートがアップされるとのこと。このような企画をしていただいた「Musical Theater Japan」さんに感謝です。

https://motion-gallery.net/projects/MTJapan2

 

■作品情報

出演:藤岡正明、木村花代

作詞・作曲:アビゲイル&ショーン・ベンソン(Abigail & Shaun Bengson)
脚本:サラ・ガンシャー (Sarah Gancher)
翻訳:工藤紅
日本語上演台本・訳詞・演出:板垣恭一
音楽監督:桑原まこ

https://www.consept-s.com/100days/

 

ミュージカル「フランケンシュタイン」名古屋公演初日(2020/02/14 18時開演)へ行ってきました。

 
 
 
 

 
私自身、この手の遠征はお初でした。
東京公演2回、名古屋1回、計3回の観劇で、3回目にして色々なものが回収され、私にとっての観納め、感無量です。
 
「フランケンシュタイン」自体の所感は、たくさん書きたいことがあるので、追々綴っていきたく、今回は、名古屋公演の所感を中心に振り返ります。席は、前から6列目の良席だったため、役者さんの表情を細かく観ることができました。
 
※ネタばれ含みます。
 
◼️ビクター/ジャック(中川晃教さん)とアンリ/怪物(小西遼生さん)
東京公演では、アンリ/怪物(加藤和樹さん、小西遼生さん両方)に魅了され、今回もアンリ/怪物(小西さん)を楽しみにしていたわけですが、ビクター/ジャックの中川晃教さんの演技と歌唱に心震えました。そんな中川さんの演技を受け止めるアンリ/怪物役 小西さんの、凛として包容力のある演技が本当に素晴らしかったです。このお2人の感情のキャッチボールがなんとも巧みで、観ている側の心を揺さぶってくれました。ラストのシーン、怪物がビクターに見せた顔は、この作品の最後の「希望の光」のようにみえました。
 
◼️ジュリア/カトリーヌ(音月桂さん)
そして、今回、新たに釘付けになったのは、2幕のカトリーヌです。人間が極限の精神状態に陥ったときに、出てくる「弱さ」と「脆さ」をこれでもかという感情で歌う姿は圧巻でした。この正反対のジュリアとの演じ分けは、巧みでした。
 
◼️健気なルンゲ(鈴木壮麻さん)
全体的に暗い話の中で、フランケンシュタインのほっこりシーンの1つ、日替わりルンゲのデザートのアドリブやり取り
 
ルンゲ「チョコレート。いっぱいもらえて羨ましい」
ビクター「そんなデザートあるか」
 
というバレンタインデーならではのノリツッコミバージョンでした。
 
他にも
・1幕の酒場シーンで、ビクターとアンリからキスをされて頭がぼーっとしている姿
・2幕のビクターがお姉さんに見送られるときの坊ちゃんへの健気な眼差し
 
など、健気でお茶目で愛らしいルンゲさんが色々観られて満足でした。
 
◼️これぞ職人技!アンサンブルのみなさま
最後に、私の今回のもう1つの楽しみは、少数精鋭アンサンブルメンバーの職人技でした。あの方があの役も?というぐらい、早替えオンパレードで、観るのが忙しかったです。また、てっきり録音とばかり思っていたコーラスが陰で生で歌っていたということを知り、早替え、演技(歌、ダンス)、陰コーラスと、これを東京では、31公演もやっていたかと思うと、心から尊敬です。名古屋も大阪もどうかご安全に!
 
アンサンブル安福毅さんのブログより
 
◼️総じて
カーテンコールが始まった瞬間、感激で胸がいっぱいになりました。感情がジェットコースターのように揺さぶられる舞台に出会ったのは、私にとって、恐らく「フランケンシュタイン」が初めてかもしれません。だから、この回を観終わった瞬間に、まるで何かのレースを一緒に走ってゴールしたような達成感のようなものが得られました。私の「フランケンシュタイン」は終わってしまいましたが、カンパニーのみなさん、最後まで怪我なく安全に走りきってください!ありがとうございました!
 
■CAST & CREATIVE

<CAST>

ビクター・フランケンシュタイン/ジャック:

中川 晃教 柿澤 勇人 ※Wキャスト

アンリ・デュプレ/怪物:

加藤 和樹 小西 遼生 ※Wキャスト

 

ジュリア/カトリーヌ:音月 桂

ルンゲ/イゴール:鈴木 壮麻

ステファン/フェルナンド:相島 一之

エレン/エヴァ:露崎 春女

 

朝隈 濯朗 新井 俊一

岩橋 大 宇部 洋之

後藤 晋彦 白石 拓也

当銀 大輔 丸山 泰右

安福 毅 江見 ひかる

門田 奈菜 木村 晶子

栗山 絵美 水野 貴以

宮田 佳奈 望月 ちほ

山田 裕美子 吉井 乃歌

 

<CREATIVE>

音楽:イ・ソンジュン

脚本/歌詞:ワン・ヨンボム

潤色/演出:板垣恭一

訳詞:森雪之丞

音楽監督:島 健

振付:黒田育世

美術:乘峯雅寛

照明:高見和義

音響:佐藤日出夫

衣裳:十川ヒロコ

ヘアメイク:宮内宏明

擬闘:渥美 博

ステージング:当銀大輔

歌唱指導:福井小百合

指揮:八木淳太

オーケストラ・コーディネイト:東宝ミュージック

舞台監督:廣田 進/松井啓悟

演出助手:長町多寿子

プロデューサー:篠﨑勇己(東宝)/住田絵里紗(ホリプロ)

Art Direction:小倉利光(YELLOWNOTES)

Photographer:HIRO KIMURA (W)

 
◼️公式サイト

 

私は、現在、40代の会社員です。

大学卒業後、約20年インターネット業界で働いています。そんな私が、今、演劇を始めたルーツをふりかえります。

 

今回は、ビジネススキルの1つ「プレゼンテーション(以下プレゼン)が上手くなりたい」課題についてお話しします。

私はこれまで、人前に立つ「講演」の仕事をしたことがありました。多いときは月2回ペースで、規模は30人程度から400名規模までと様々です。プレゼンが上手だったからオファーがあったわけではなく、職務上必要になったから与えられた機会でした。当然、最初から上手く話せるわけではなく、最初のうちは事前に原稿を用意して、紙芝居のようなプレゼンをしていたことを記憶しています。

 

そんな時に、社内でプレゼンの達人に出会います。その方のプレゼンは、とにかく最後まで飽きずに聞いていられるのが不思議でした。この極意を教えていただきたいと思っていたら、ご縁がつながり、教えを乞うことになりました。その方から色々教えていただいた中で、シンプルに一番印象に残っていることは、

 

“プレゼンは、「自分の話したい事を一方的に伝えることではない。相手が何を望んでいて、こちらがどんな目的で相手をどうしたいか?」なんだよ”

 

“聞き手(お客様)の大切な時間を無駄にしないよう、準備を怠るな”

 

でした。

プレゼンはどうしても「発表」のイメージが強く、自分が話したいことが中心になりがちなのですが、大切なのは「受け手」側で、それらの人を「どうしたいか」なのだということ。プレゼンもコミュニケーションの1つなんだなと。また、一瞬の本番のために、準備を徹底的に行うことがいかに大切かということ。私はこの方の教えを参考に、自分のプレゼンをブラッシュアップしていきました。今では、プレゼンに対する苦手意識もなくなり、手ごたえを得るところまでに至りました。

 

演劇と脱線しているのかもしれませんが、この達人こそが、演劇経験者だったのです。その方から薦められた著書が「風姿花伝」でした。

 

「風姿花伝」は、室町時代の能役者「世阿弥」が記した能の理論書です。能の行法・心得・演技論・演出論・歴史・能の美学などが端的に書き綴っています。この1冊で、人生哲学的なことが学べます。この書を読み進めていくうちに、私の中で、芸事を極めている方々のリスペクトが高まりました。

 

 

からいくつか抜粋します。

そもそも、花というものは、万木千草(ばんぼくせんそう)において、四季折々に咲くものであるから、ああ春になった、夏になったと、季節ごとにその都度花をみて珍しく思いもし愛で楽しみもするわけである。

能もこれと同じで、見ている人の心に「ああ、珍しい」と思うところがあれば、すなわちそれを面白いと思う心理である。したがって「花」と「面白い」と「珍しい」の三つは本来同じ心から発する三つの側面にすぎない。

 

「花」のあり方に加えて、見ている人の興味関心、心のあり方も含めて1つであるということに興味を持ちました。観ている側の心が置いてかれるものほどつまらないステージはありませんよね。

 

また、

各種の芸を稽古しつくし、工夫に工夫を加えて後、はじめて永続する「花」すなわち一生失せない芸の美を知ることができる。

「芸事」は「稽古」ありきだなということをつくづく実感する一説です。一瞬の「花」を咲かせるために必要な準備は怠ってはならないということを教訓として得られます。

 

ちなみに、あの「ジャパネットたかた」の創業者の髙田明さんがバイブルにしている本だとのことで、本も出されています。芸能の指南書がビジネスにも役立つということがとても興味深いです。

 

 

というわけで、私が演劇を始めたルーツのビジネス的な側面からのお話でした。「風姿花伝」については、まだまだ語りたいことがあるので、別の機会に書けたらと思います。

 

 

(つづく)

私は、現在、40代の会社員です。

大学卒業後、約20年インターネット業界で働いています。そんな私が、今、演劇を始めたルーツをふりかえります。

 

今回は「演劇」というより、「ミュージカル」に興味を持つきっかけになったお話です。

(大学卒業後から今までかれこれ20年近く経つので、演劇とは離れた話多めになるので、興味のない方は読み飛ばしてください)

 

大学卒業後、エンタメ系の会社を目指さなかったのか?ですが、紆余曲折を経て、今の業界に腰を据えることになります。2000年初期のインターネットの業界は、それはそれで日進月歩な世界で、今までプロとしてお給料をいただき、刺激的な日々を送っています。一方で、身体を動かすことが好きなことが高じて、趣味としてマラソンや登山の世界に目覚めます。アマチュアでしたが、フルマラソン3時間15分を切ると出場権がもらえる東京・大阪・名古屋の国際女子マラソンにまで出るまでハマっていました。

 

そんなこんなで、「演劇」とは離れた生活三昧でしたが、色々とやり切ったこともあり、2012年頃、マラソン競技に一区切りつけます。そんなときに、「glee/グリー」というドラマに出会います。

 

何が面白かったのか?

・誰もが抱えるマイノリティ部分を障害としてそれら乗り越えたり緩和するストーリー構成

・それらのストーリーに合う往年のヒット曲やミュージカルナンバーが絶妙にチョイスされている

・ブロードウェイで活躍する俳優の歌や踊りなどハイレベルなパフォーマンスが繰り広げられる

・ここに出てくる登場人物がミュージカルを愛している

 

といった要素などから、私はこのドラマの虜になりました。そして、いつしか「ニューヨーク」という場所に興味を持つようになります。

海外ドラマ『glee/グリー』オフィシャルサイト

 

(つづく)