ミュージカル回想録「HUNDRED DAYS」-2/24(月・祝) | 「演劇」の世界を通してみえるもの

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インターネット業界で働く会社員の傍らで役者修業中。「演劇」が、単なる娯楽ではなく、生活に密接し、活力を与えてくれるものとして魅了されている中、そこからみえる世界を徒然に綴ります。

2/24(月・祝)12時30分~@シアターモリエール(新宿)の回へ行ってきました。

 

■期待を裏切らない「conSept」プロデュース作品

ミュージカル回想録「HUNDRED DAYS」は、社会派ミュージカルを世に送り出す「conSept」企画の作品です。私自身、これまで「conSept」の関連作品としては、「いつか ~one fine days」「グーテンバーグ!ザ・ミュージカル」「In This House 〜最後の夜、最初の朝〜」を観劇し、どれもリピートしてしまうぐらい心を動かす作品に巡り合ってきました。どれも共通するのは、演出家・板垣恭一さんと音楽監督・桑原まこさんというクリエーターのコンビです。今回もそのお2人が関わる作品とあって、楽しみににしていましたが、期待通りというか、むしろ期待以上の驚きと感動を味わうことができました。

 

■実在の夫婦、ショーンとアビゲイルの数奇な運命と「100日間を一生分生きる」軌跡

ショーン・ベンソン(藤岡正明さん)、アビゲイル・ベンソン(木村花代さん)の実在するミュージシャン夫妻の数奇な運命を「ベンソンズ」バンドがライブ仕立てに回想していくお芝居が展開されます。一見、「これが、ミュージカル?」と意表をつくのですが、その不安は、あっという間に消えるほど、2人の世界に引き込まれていくのでした。

 

2人の世界の何に引き込まれたのか?

それは、この作品のテーマでもある「100日を一生分生きよう」という、「死」への恐怖を乗り越えていく過程ではないかと考えています。その背景にある2人の生い立ちは複雑で、抱えてしまった問題(=生きづらさ)を、それぞれが肯定し合い、必要とすることで、それぞれが生きる意義を見出していく。それは1人では生きていけない証であり、結果、2人で「喜び」も「絶望」も受け入れて、今を一生懸命生きることが、明日への「希望」となる、という答えを音楽を通じて心に訴えかけてくるのでした。まさにベンソンズの魂の歌を。。

 

■ライブの中で「芝居」をするということ

そんな2人の回想録を語って歌う、藤岡正明さん、木村花代さんの演技、歌の技量も圧巻でした。とくにアビゲイルを演じた木村花代さんは、喜怒哀楽のメンタルの揺れが激しいアビゲイルの感情を巧みに表現されていて、終始くぎ付けでした。今回は初めて木村さんの舞台を拝見したのですが、そんな木村さん演じるアビゲイルから、冒頭パフォーマンスでお土産(飴)をいただけたのは、良い思い出となりました。

 

 

これはネタバレですが、この作品の主題歌ともいえる「100日の奇跡」のナンバーは、劇中とラストに登場します。それぞれのアビゲイルの表情の違いは注目です。


■観劇後

Musical Theater Japanさんが主催するconSeptプロデューサー宋 元燮さんとの対話の機会「観劇を深める会」へ参加してきました。そもそもの作品のコンセプトだったり、あれはどういう意図だったのか、この解釈はどうなのか?など、作り手の作品に対する熱い思いを聞けて、とても有意義でした。また、他の観劇されたお客様との交流も自分にはない視点や気づきを得られ幅を広げることができました。総じて、今の自分がこの作品にマッチしていた答え合わせが出来て、一ファンとしてこれからのconSept作品に期待したいところです。また、後日レポートがアップされるとのこと。このような企画をしていただいた「Musical Theater Japan」さんに感謝です。

https://motion-gallery.net/projects/MTJapan2

 

■作品情報

出演:藤岡正明、木村花代

作詞・作曲:アビゲイル&ショーン・ベンソン(Abigail & Shaun Bengson)
脚本:サラ・ガンシャー (Sarah Gancher)
翻訳:工藤紅
日本語上演台本・訳詞・演出:板垣恭一
音楽監督:桑原まこ

https://www.consept-s.com/100days/